チャレンジ

中学年の生徒さんがレッスンに持ってきたのが、秋の音楽会合唱伴奏曲。

「チャレンジしてみる」と言う。

「伴奏曲って、歌が始まるとそんなに難しくないんだよ。前奏が少し難しい。だから、前奏で挫折したくなるかもしれないけど、難しいがずっと続くワケじゃないの」

「家で弾いてきた?」

聞くと、まったく譜読みをやっていないと。

「じゃあ、前奏と少しやさしい所と、どっちを一緒にやろっか?」

「前奏をやりたい」

そんなことで、前奏のみ、30分みっちり取り組んだのでした。

楽譜に書かれている、たくさんのヒント。

ここに気づいて譜読みを進めていくために、私は宝探しの競走相手になる。

リズムパターン、音の継続性‥

「なーんだ。カンタン」

を引き出したい。

レッスン終了後、レッスンノートに点数をつける際、この楽譜を手に入れた日を聞いた。

先週のレッスンの次の日。

「1週間、自分で何も進めなかったの?」

どうやら、家族に無理なんじゃない?と言われたとか。

確かに、練習をあまりしない‥

始めなくては何も始まらない。自分で楽譜を読まずして、弾けるようにはならない。

なので、点数は思い切って低くしました。

「待ってても弾けるようにはならないから、自分でやりたい、と思ったなら取り組まないとね」

教室ノートを書くことを習慣にしている生徒さん。

「チャレンジすること、書いちゃったら?」

自分を鼓舞するため、人にチャレンジを知ってもらう。

割と自己肯定感が低いタイプ。

よく弾けてるよ、と言っても、首を傾げて

「うーん」

そんな生徒さんに、私がすごくいい、と思っていることを常に伝えている。かなり執拗に。

「いいものを持っているんだから、もう少し練習したらいいんだけどね!」

と話すと、そうそうとうれしそうに笑うお子さまなのです(^^;)

今回のチャレンジは「自分は無理‥」と思いがちな生徒さんの、大きな大きなステップだと思っています。

この生徒さんの強みは、いい意味でのプライドの低さ。

自分のチャレンジを、みんなが読むノートに書く、素直さ。

習い事をするのに、とても大切なことです。

オーディションまでいくには『弾けている』状態にする努力が必要。

険しい道だけれど、あきらめないで、そのステージにたどり着いて欲しい。

伴奏にチャレンジする生徒さんの、伴走者になりたいと思います!